あずーるの雑多なログ(仮)

つれづれなるままに……

考察:「CCM-54」(MSV-Rより)

 諸兄は「CCM-54」の艦籍番号を持つジオン公国軍の軍艦をご存知だろうか。私は知らない。

 

 このCCM-54という文字列は、メカニックデザイン企画『MSV-R』において、ゴブル宇宙戦闘攻撃機の機体に描かれたマーキングだ。MSV-Rに属する画稿には、リアリティの表現の為か所属艦の艦籍番号が書き込まれている傾向があり、例えばジム・キャノン(空間突撃仕様)の画稿に描かれた「SCA29」はサラミス級29番艦アイガーを表している。CCM-54もゴブルを艦載機とする艦艇の艦籍番号であると考えるのが妥当であろう。

(余談だがこの「SCA(おそらく宇宙重巡洋艦)」という表記にはちょっとした問題がある。サラミス級艦種記号はMSV-R以前のアトラクション『ガンダムクライシス』においては「SCC(おそらく宇宙軽巡洋艦)」と設定されていたはずなのだが、それと矛盾しているのだ。もっとも、現在でこそ「サラミス級宇宙巡洋艦」という表記が主流だがMSV当時の設定ではサラミス級重巡洋艦であったため(MSVハンドブック連邦編P.50等)、むしろこちらが正しいとも言えるのだが……)

 

 

※2023/12/15追記

 『MSVコレクションファイル宇宙編』にサラミス級には「重雷装型」「偵察型」「防空型」「航空型」といった派生型が存在することが記載されている。このことからサラミス級の「艦種」が複数存在していても矛盾はないのかもしれない。

 

 

 さて、ガンダムで「CCM」といえば、ザンジバル級機動巡洋艦艦種記号である。そしてその一番艦ザンジバルの艦籍番号は「CCM-80」。そう、”80”なのだ。つまりジオン公国軍の艦籍番号は一年戦争以前から(おそらくジオン国防隊創立から)連番で振られており、ザンジバル級の就役する0076年までに79隻の機動巡洋艦が就役していたことが推察できる。

 今回の主題となる「CCM-54」はザンジバルの就役より以前、ゴブルの就役時期から考えて0070年前後に就役していた機動巡洋艦の一隻であろう。共和国宣言の0058年から0076年までの18年間に一定のペースで竣工していたと仮定しても、一年間に約4.4隻のペースであるから54番艦の就役は12.3年後……やはり0070年付近となる。0070年代のジオン公国軍は新鋭艦であるパプア級ミサイル戦艦チベ級戦艦を開発、生産し艦隊戦力の充実を図っていた時期であった。CCM-54がこれらの艦と同世代であれば、近代化改修されて一年戦争に参戦していたとしても不自然ではないだろう。また、MS誕生以前の艦艇であれば艦載機として宇宙戦闘機を搭載していることにも納得がいく。

 

 と、ここまで考察してきたものの既存の設定の中にはこのCCM-54を擁する艦級についての情報は全くと言っていいほど存在していない。後継艦と思われるザンジバル級の特長からするに長距離の航行性能や大気圏往還機能を持っていそうではあるが、これも憶測にすぎない。唯一、それに関連しそうな情報があるとすれば、海兵隊旗艦「リリー・マルレーン」であろうか。

 リリー・マルレーンと言っても「0083」に登場するザンジバルⅡ級機動巡洋艦の事ではない。一年戦争開戦直前、海兵隊設立当時の旗艦である。これも考察に過ぎないのであるが、「機動戦士ガンダム」作中においてランバ・ラルの乗るザンジバル級が「新造戦艦」と呼ばれていることから少なくとも0079年11月時点ではザンジバルⅡ級は存在していなかった、と考えられる。もちろん「ランバ・ラルの乗るザンジバル」が新造艦だっただけとも捉えられるが、それなら艦級ではなく艦名を呼ぶだろう。このことから海兵隊の当初の旗艦は「”先代”リリー・マルレーン」とでも言うべき機動巡洋艦だったと推察でき、これが「CCM-54」の同型艦ではないかと私は睨んでいる。

 

 現在の情報と私の頭脳ではこれ以上考察を進めることはできなくなってしまったが、いつの日か詳細な設定や、外観を描いた画稿が発表されることを願うばかりだ。